項目別見積もり費用の確認方法
LAN工事を業者にお願いする場合には、いくつかの業者から見積もりを依頼することになるかと思います。
できる限り費用を抑えたいのは当然のことですので、金額の安さは重要なポイントですが、費用の総額を比較するだけで高いか安いかを判断するのは得策ではありません。
見積書を、費用の項目別に確認することで、業者の見積もりの妥当性が明確になりますし、価格交渉も効果的になります。
今回は、LAN工事の際の見積書の費用について項目別に案内します。
▶目次
1、人件費、作業費
LAN工事の中で大きな割合を占めるものが人件費と作業費です。
人件費と出張費
人件費は、「作業スタッフの人数×作業時間×単価」で算出されます。
単価はもちろん、作業時間やスタッフの人数も業者によってまちまちになるかと思います。作業時間については、実際にかかった時間ではなく、作業に必要とされる見込み時間で算出されますので、実際に早く工事が終わったからといってその分安くなるものではありません。
工事内容が半日以下のものは時間単位で算出されますが、何日かにまたがる場合には日数(1日あたり8時間)で算出されることがおおいです。(LAN工事単独の場合には何日にもまたがるケースはまれですが、他のオフィス設備の工事を同時に行う場合など)
出張費は、業者ごとに一律で価格が設定されています。1回の案件ごとに請求されます。複数の工事を1度にまとめると出張費が二重にかかることを防ぐことができるので、費用の削減につながります。例えば、将来的に必要なLAN回線をあらかじめ作っておいたり、ネットワーク複合機の導入を前倒ししたりするなどです。
作業費
作業費は、作業の項目ごとに発生します。
例えば、ルーター設置1件につき〇〇円、LANコンセントの穴開け1件につき〇〇円などです。
こちらも、基本となる単価は業者ごとに決まっています。
LANの構成によって必要な作業工程が変わりますので、見積書を見比べて作業数のばらつきが多い場合には、作業の工程を一つひとつ確認しましょう。場合によっては、予備の設備のために費用が計上されているケースもありますので、一つひとつの作業の必要性を慎重に判断しましょう。
管理監督費
スタッフの人件費の他に、工事当日の管理監督費についても発生します。
作業スタッフを管理する現場責任者(工事担当者)に対して支払う費用になります。
2、材料費とその他諸費用
材料費とその他の諸費用について解説します。
材料費
ネットワーク機器の材料費についても合算で見積もり、請求されます。
使用する機器は一般的にはオープン価格のものですが、だいたいの相場はスペックごとに決まっています。構築するLANの環境によって必要な機器のスペックも決まるので、似たネットワーク構成であれば大きな価格の違いは生じないのですが、構成が大きく異なる場合には必要な機器の種類や数が変わり、金額にも差が生じます。
また、構成自体は似ていても、ルーターやサーバーなどの機器代金が大きく異なる場合もあります。
この場合は、安い機器の方がスペック不足の可能性もありますし、高い機器の方が必要とする以上のスペックを備えている機器の可能性もあります。
スペックの判断は難しいところですが、工事業者の方にどの程度のスペックのものが最適化を改めて確認し、条件をそろえて見積もりを再依頼しましょう。
LANケーブル
LANケーブルについても、使用する長さに応じて見積もりが算出されます。
LANケーブルの単価には大きな違いがありませんが、見積もりを比較して単価が他よりも高い場合には交渉の余地があります。
ネットワーク構成によってLANケーブルの必要本数、長さに違いが生じやすい部分もありますが、必要以上の長さが見積もられている場合もあります。
単価の違いが表れにくい部分ですので、他社との比較がしやすい項目かと思います。
諸経費
諸経費は、建築業界や工事業界で慣習的に見積もりや請求書に計上される項目です。
工事全般にかかるその他の経費ということで、現地調査や打ち合わせ、資料の作成などの費用ということですが、人件費や材料費と異なり明確な根拠があるものではありません。
工事業者の粗利となっている部分でもあり、慣習的なものなので、どの業者に依頼してもある程度の諸経費は発生します。
しかしながら、他社よりも著しく高い場合には交渉の余地があるかと思います。
交通費・駐車場代
工事当日の、トラックの交通費や駐車場代についても請求書の中に含まれるケースがあります。
自社に駐車場がある場合には、利用許可を出すことにより駐車場代については交渉できるかもしれません。
また、交通費、駐車場代金としてあまりにも不自然な金額が算出される場合には、根拠を確認するようにしましょう。
3、まとめ
LAN工事の見積もり費用について案内しました。
見積もりは、業者ごとにフォーマットも異なりますし、同じように工事の見積もりを依頼してもLANの構成が異なることが多いので、総額だけで比較してもあまり意味がありません。項目別に費用を確認することにより、料金が正当なものなのか、相場よりも高いのか確認しやすくなります。
注意点としては、頻繁に価格交渉を行うと、逆に業者側から「応じていたらきりがない」と思われてしまい一切の交渉ができなくなる可能性があることです。ある程度の条件をそろえて、総合的に交渉しやすそうな部分を見極め、タイミングを見て相談するようにしましょう。
総額に対して単純に「高い」と言ってもなかなか納得のいく返答は期待しづらいですが、項目別に根拠を求めていくと、だいぶ希望に近づけられるときもあります。